※上演時間=およそ60分


イントロダクション


3年にわたる新作プロジェクト

 劇作家・演出家の田辺剛が主宰し京都を拠点に創作・公演をしている現代演劇のユニット「下鴨車窓」は演劇作品『漂着(edge)』を2019年度から2021年度の3年をかけて制作する新作プロジェクトを立ち上げ、その第一弾となる作品を2019年6月に京都市内にて上演いたします。この新作プロジェクトは3年のあいだ年に一、二本の習作の発表を通じて試行錯誤を繰り返し、それらの集大成となる作品を2021年度に公演することを目指しています。慌ただしく過ぎていく時間のなかで即席に作品を創作・発表するのではなく、じっくりと時間をかけてより厚みのある作品づくりを目指します。タイトルに付された<ROUTE1>はその第一の習作を意味し、以降<ROUTE2>,<ROUTE3>と続く予定です。

下鴨車窓の原点から

 主宰の田辺の興味関心はいつも「ことば」です。2010年頃、田辺は「ことば」にこだわる自分の精神を言い当てる文章と出会います。それはロシアの詩人、オシップ・マンデリシュタームのエッセイにありました。


 人にはそれぞれ友人がある。詩人が友人たちに向けて、自分に身近な人びとに向けて語りかけたがらないのはなぜだろう。
 航海者は遭難の危機に臨んで、自分の名と自分の運命を記した手紙を瓶に封じ込め海へ投じる。幾多の歳月を経て、砂浜をそぞろ歩いていて、わたしは砂に埋もれた瓶を見つけ、手紙を読んで遭難の日付と遭難者の意思を知る。わたしにはそうする権利がある。わたしは他人あての手紙を開封したりはしない。瓶に封じ込められた手紙は、瓶を見つけた者へあてて書かれているのだ。見つけたのは、わたしだ。つまりわたしこそ秘められた名宛人なのである。
〈中略〉
 つまり、手紙は砂に埋もれた瓶に偶然気づいた人のものであり、詩は「後の世の読者」のものなのだ。
「エッセイ 対話者について」
( オシップ・マンデリシュターム著 , 早川眞理訳 , 群像社 ,1998 ) より
 

 詩を投壜通信として語るマンデリシュタームのこのエッセイは、日常に使う「ことば」も詩という切り口で考えようとする田辺の思考に明確なビジョンをもたらしました。詩だけではなく「ことば」そのものが本来投壜通信なのではないか、だとすれば「ことば」によって紡がれる「物語」は、そして「物語」と俳優と呼ばれる者らの身体が出会う場である「演劇」はどのようなものになりうるのか。そうした思考の繰り返しが田辺にとって、そして下鴨車窓の表現にとって核心となります。

演劇がこの世界に漂着する

※写真は『漂着(island)』(2015.8,京都・香港・マカオ・大阪・三重・東京/撮影=松本成弘)

田辺はすでに『漂着』(2010年,京都・大阪・福岡,演出=山田恵理香)、『漂着(island)』(2015年,京都,香港,マカオ,大阪,津,東京,演出=田辺剛)と「漂着」がタイトルにつく作品を発表しています。投壜通信のコンセプトがはっきりしているのは『漂着(island)』ですが、これらは「ことば」が「物語」が「演劇」が「身体」が流浪して流れ着く世界観を表現した作品群です。今回立ち上げる『漂着(edge)』は世界にあるさまざまな境界線の端(edge)に注目して、わたしたちの日常(ノンフィクション)世界と物語(フィクション)世界のはざまに埋もれているであろう「ことば」を探す試みです。


日程・会場・料金


日程

2019年6月
14日(金)19:30
15日(土)13:00、17:00
16日(日)13:00

※受付開始は開演の40分前、開場は30分前です
※上演時間はおよそ60分です

会場

京都市東山青少年活動センター 創造活動室

京都市東山区東大路五条上ル東山区総合庁舎2F
電話=075-541-0619

※ご来場には公共交通機関をご利用ください
●京阪「清水五条」駅より徒歩15分(五条通を東へ東山五条交差点で東大路通を北へ)
●京都駅より市バス206号系統「東山通・北大路バスターミナル」行、四条烏丸・河原町より市バス207号系統「清水寺・九条車庫」行「清水道」下車すぐ

料金

一般2,000円/ペア3,600円
ユース(25歳以下)1,500円

※ペアは二枚セットでの販売です
※チケットは日時指定自由席券
※ユースおよび高校生以下は運転免許証や学生証など年齢や身分が確認できる書類が必要です
※お支払いは現金、銀行振込(前払)、クレジットカード(PayPal,前払のみ)、QRコード決済(PayPay,当日精算時)が可能です


出演者・スタッフ


出演

西村貴治
 

大沢めぐみ

福井菜月

飯坂美鶴妃

佐々木峻一

岡田菜見 
 
夏目美和子

桑折現

スタッフ

[脚本・演出]田辺剛
[舞台監督]田中直樹
[美術]川上明子
[照明]河口琢磨
[音響]森永恭代 林実菜
[主催]下鴨車窓
[企画制作]mogamos
[共催]京都市東山青少年活動センター (指定管理者:公益財団法人 京都市ユースサービス協会)

お問い合わせ

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