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『微熱ガーデン』に関する
ツイートまとめ

これまでの公演をご観劇いただいた方の感想などをまとめています。作品の内容に触れた投稿もありますのでご留意ください。

はじめに

Introduction

パクチーを育ててるんだと
彼女は嘘をついた

とある地方の寂れた町。結のアパートは町の真ん中からさらに離れたところにある。鉢植えばかりになった小さな和室にももう慣れた。慣れたというより違和感に悩む余裕がなかった。種まきから収穫まで淡々と、けれども抜かりなく育てる日々。大学の授業も抜かりなくこなす日々。そうしてすべてにおいて抜かりなくやっていたはずなのに、いつの間にか取り返しがつかないことになっていると気づいたある日。空は曇天の冬、乾いた田んぼ、つい口ずさんでしまったジングルベル。

 京都を拠点に活動する劇団「下鴨車窓」は演劇作品『微熱ガーデン』を202411月に京都と名古屋で上演いたします。この作品は2016年に京都にて初演され好評を得た作品で、2018年度からは下鴨車窓のレパートリー作品として全国を巡演しています。さらに2021年度には出演者を一新して再創作、旅を続けています。京都公演では現チーム(A)に加えて二つのチームを新たな俳優で編成します。一つは田辺自身の演出による新チーム(B)、もう一つは努力クラブの演出家合田団地氏によるチーム(C)です。Bチームは同作の設定を変更、女子大生の友人二人を姉妹にします。オリジナルにはなかった「家族」という題材を加えることで同作のテーマでもある相対的貧困をより深く表現します。Cチームは合田団地氏による演出。同氏の舞台作品にある独特な雰囲気が『微熱ガーデン』とどのように融合するのか期待が膨らみます。田辺演出とは違った切り口の作品になることでしょう。そしてこれまで各地での上演の積み重ねてきたAチームの上演では熟成した密度の高いオリジナルの物語世界をご覧いただけます。以上、現チームと新たに加わる二つのチームがオムニバス公演のようにそれぞれ2ステージずつ上演、同じ『微熱ガーデン』が三つの違う作品として現れます。同じ作品なのに違っている、演劇ならではの競演です。
 名古屋公演(Aチームのみの上演)は劇団としては2009年の『書庫』(於七ツ寺共同スタジオ)以来15年ぶりになります(他団体による田辺の演劇作品の上演はこれまでもあり)。在名の劇作家・演出家などを招いてのトークイベントも開催します。どうぞご期待ください。
 舞台は地方都市にある古アパートの一室です。学費や生活費に困った女子大生(Bチームでは姉妹の設定)が植物を違法に栽培しています。社会の片隅に置かれ悪意なき悪と孤独のなかでなんとかして次の一歩を踏み出そうとする若者たちを描きます。
〈上演時間:A,Bチーム=約1時間40分/Cチーム=約2時間〉

出演者とスタッフ

Cast & Staff

[出演]※写真左から

[出演]※写真左から

[出演]※写真左から
 

[舞台監督(京都公演)]下野優希[舞台美術]川上明子[照明プラン・操作(京都公演)]河口琢磨[照明操作(名古屋公演)]真田貴吉[音響]森永恭代[衣装]田中沙穂()[制作]葛川友理[当日運営(名古屋公演)]今井あや子[助成]芸術文化振興基金[主催・企画制作]mogamos合同会社
※京都芸術センター制作支援事業

下鴨車窓 しもがもしゃそう
京都を拠点に現代演劇の創作・公演をする劇団。2004年に結成、劇作家・演出家の田辺剛が代表。当初は作品ごとに出演者やスタッフを募りチームを作っていたが2020年4月に劇団化。ほぼ全ての作品が各地でツアー上演される。2015年には香港とマカオの海外公演も果たした。名古屋公演は劇団としては2009年『書庫』(七ツ寺共同スタジオ)以来15年ぶりとなる。
[脚本・演出(A,B)]田辺剛 たなべつよし
劇作家・演出家。京都市に在住し創作活動を続けている。2005年に『その赤い点は血だ』で第11回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。2006年秋より文化庁新進芸術家海外留学制度で韓国・ソウル市に1年間滞在し劇作家として研修する。2007年に『旅行者』で第14回OMS戯曲賞佳作を受賞。演劇作品『きみがしらないひみつの三人』が令和元年度児童福祉文化財の特別推薦作品に選出。
[演出(C)]合田団地 ごうだだんち
努力クラブ所属。作家、演出家、時々役者もやります。 1987年生まれ。大阪府高槻市出身。高校のときに、演劇部に入部したことをきっかけに演劇を始める。その後、佛教大学劇団紫を経て、立命館大学劇団西一風の佐々木峻一とともに 2011年に努力クラブを結成。以降、すべての作品で作演出を担当。 2023年に『涼しい。』で第 6回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。

戯曲

Text

上演台本(戯曲)を
コチラ LinkIcon
で販売中です。
京都公演

Kyoto

[提携]THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)

[日時]

2024年11月

6日(水)19:00〈A〉
7日(木)19:00〈B〉
8日(金)19:00〈C〉
9日(土)13:00〈A〉,18:00〈B〉
10日(日)13:00〈C〉

▽回によって出演者が変わりますのでご注意ください
受付は開演の40分前、開場は30分前からです

=終演後にゲストをお招きしてトークイベントを開催します
[6()19:00]

藤原千代 LinkIcon (青コン企画()/劇作家・演出家・俳優)
岩越信之介 LinkIcon (劇団なべあらし/演出家・俳優)

[8()19:00]

合田団地 LinkIcon (努力クラブ/劇作家・演出家・俳優/Cチーム演出担当)

[9()18:00]

中村彩乃 LinkIcon (安住の地・劇団飛び道具/俳優)

[10()13:00]

穴迫信一 LinkIcon (ブルーエゴナク/劇作家・演出家)

敬称略

[会場]

THEATRE E9 KYOTO LinkIcon

JR 京都駅 八条口から徒歩約14
東福寺駅から徒歩7
京都市営地下鉄 九条駅から徒歩約11
京都市バス1684系統「河原町東寺道」より徒歩3
京都市バス 16,202,207,208,84,88系統「九条河原町」より徒歩6

[料金]

一般=3,500円
ユース(25歳以下)=2,500
リピート=1,000円 New!!!

※ユースの方には年齢を確認できる証明書のご提示が必要です
※リピートは本公演のステージを一度ご覧になった方で、他のチームの作品も(同じチームの二回目の観劇でも可)ご観劇される際に適用される料金設定です。当日受付にてすでにご覧になったステージのチケット半券を必ずお持ちください(お忘れの場合は通常料金となります)。各回10枚限定でご予約可能です(事前購入はできません)。お支払いは当日受付にて承ります。
事前購入で一般、ユースの料金が500円引きになります。予約のみの場合(観劇当日のご精算)は通常料金です

▽一般、ユースの料金が500円引きになります
▽リピートは事前購入できません。予約のみ↓
▽THEATRE E9 KYOTOのホームページへ移動します 
▽ご精算はご観劇時に受付にて承ります
▽リピートの予約を受付中です(各回10枚まで)
名古屋公演

Nagoya

[日時]

2024年11月

23日(土)13:00,18:00
24日(日)13:00

▽いずれの回も〈A〉チームが上演します
受付は開演の40分前、開場は30分前からです

▽すべての回の終演後にトークイベントを開催します
ゲスト(敬称略):
[23()13:00]

安住恭子(演劇評論家)

23()18:00]

ニノキノコスター LinkIcon (オレンヂスタ/演出家・劇作家)

[24()13:00]

七星束子 LinkIcon (青年団・劇団サカナデ/俳優)
岡本拓也 LinkIcon (劇団サカナデ/劇作家・演出家)

敬称略

[会場]

G/PIT LinkIcon

地下鉄東山線伏見駅より徒歩7分

[料金]

一般=3,500円
ユース(25歳以下)=2,500

※ユースの方には年齢を確認できる証明書のご提示が必要です
事前購入で料金が各種500円引きになります。予約のみの場合(観劇当日のご精算)は通常料金です

『微熱ガーデン』のあゆみ

History

《3代目キャストver.》

出演=諏訪七海、橘どりる、岡田菜見


2022.12 松山/シアターねこ
2022.12 高知/蛸蔵
2022.01 津/津あけぼの座
2022.01 大阪/ウイングフィールド
2021.05 オーディションで出演者入れ替え
 

《2代目キャストver.》

出演=中村彩乃、野村明里、吉田知生


2020.12 長崎/アトリエPentA
2020.12 宮崎/三股町立文化会館
2020.07 LIVE配信公演(from京都)
2019.10 松山/シアターねこ
2019.10 大阪/ウイングフィールド
2019.02 北九州/枝光本町商店街アイアンシアター
2019.02 福岡/ゆめアール大橋 大練習室
2018.12 札幌/シアターZOO
2018.11 津/津あけぼの座
2018.11 京都/studio seedbox
2018.02 オーディションで出演者入れ替え
 

《初演/初代キャストver.》

出演=岡村藍菜、奥村奈緒、川端誠秀


2016.12 京都/スペース・イサン

寄稿

Special

旅する演劇がもたらす豊かな実り~下鴨車窓『微熱ガーデン』を観て

 劇作家、演出家の田辺剛は自身の創作に加え、演劇に多角的に取り組んでいるつくり手の一人。戯曲執筆や演劇創作全体を指導する講座、自作を回を重ねて上演するレパートリー化と積極的なツアー展開など、小集団ながら〝演劇を消費しない〟ことに、これほど能動的に取り組む劇団は全国的にも貴重な存在だと思う。
 2016年末に初演された『微熱ガーデン』も、レパートリー化が功を奏した作品。初代から3代目までキャストを変えつつ三演を行い、京都以外では札幌、津、福岡、北九州、大阪、松山、宮崎、長崎、高知と実に9都市を旅してきた。筆者が観劇したのは再演の福岡と三演の松山の二度だ。
 温室と化している大学生・結のアパート。経済的に苦しい結に、数少ない大学の友人・理奈が〝割の良いバイト〟として斡旋したのは違法植物の栽培だ。結の階下に住む老爺、バイトの元締めである男(理奈の恋人らしい)という、登場しない2人の男が、若い女性が社会を生きづらく感じる原因(対照的な存在だが)に思えた再演版と、結と理奈の互いを必要としながら傷つけ合ってしまう共依存的な関係が非常に現代的に見えた三演版とでは同じ作品とは思えないほど後味が違った。それゆえ、老爺の孫で作品後半に登場する青年の存在もまた異なる役割となるが、そこは今回の舞台でお確かめを。 
 2年ぶり4演目の今回は、3代目キャストのラスト公演と同時に、京都では田辺演出の新チームと努力クラブ・合田団地演出チームも加わる演劇的野心に満ちた上演になるとのこと。若者が直面する「世界の残酷さ」を、今度はどんな視座で突きつけてくれるのか。大人だからこそ、その痛みに向き合わねばならぬと今から覚悟している。

大堀久美子 (編集者・ライター )
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