とにかく彼女たちは疲れていた

 知らない時代の遠い世界の話。大きな戦争があってその混乱がやっとおさまりそうな頃のこと。
 どこまでも広がる荒野の中を走る一本の線路。それを伝って歩く三人の女性がいる。彼女らは街を追放されて故郷を目指す、異邦人の姉妹だ。海を渡るためには亡き父が生前言ったように叔父(会ったことはない)の援助を受けなければならない。その叔父は荒野のただ中にある寂れた村に住むという。
 とにかく彼女たちは疲れていた。戦争の混乱を生き抜いてやっと落ち着いたと思ったら父を亡くし旅に出なければならなくなる。遠くにやっと村が見えてきた。三人は黙々とひたすらに歩いている。

 下鴨車窓は代表作である『旅行者』を大阪での試演会を経て、三重と東京にて上演いたします。
 この作品は、現代日本からは場所も時代も遠く離れた世界の、街を追われた異邦人の姉妹が故郷を目指して旅する物語です。2006年の初演と翌年の戯曲賞受賞を経て、2008年に大阪の精華小劇場(現在は閉館)で再演。2010年には戯曲が韓国語に翻訳され、NPO法人劇研(日本)と劇団ノットル(韓国)との共同制作によって京都とウォンジュ、ソウルで上演されました(演出=ウォン・ヨンオ)。そして2016年に再び田辺自身の演出で伊丹のAI HALLと東京の座・高円寺にて上演。これらの公演すべてにおいて、演劇専門誌や新聞などに劇評として取り上げられ好評を得ています。
 
 遠い故郷を目指す人々の物語には「故郷」「家族」「国籍」「迫害」「法」などをキーワードとするテーマが折り込まれています。ウクライナの戦争を例えにひくまでもなく『旅行者』が取り扱う問題は初演から15年以上が経ってもまだ現在形のままだと考えます。出演者は地元京都だけではなく、大阪や東京の俳優も参加。地域を越えた座組で新たな劇世界の構築を目指します。どうぞご期待ください。〈上演時間=およそ110分〉


[舞台監督]平岡希樹[舞台美術]川上明子[照明]葛西健一[演出助手]福井菜月(下鴨車窓)[協力]第0楽章/青年団/melomys/遊劇体/(有)ライターズ・カンパニー[主催]mogamos合同会社(全公演)/三重県文化会館 [指定管理者:公益財団法人三重県文化振興事業団](三重公演)[提携]NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺(東京公演)[助成]芸術文化振興基金(大阪・東京公演)[後援]レディオキューブFM三重(三重公演)
 ※京都芸術センター制作支援事業


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出演者

田辺剛[脚本・演出]

劇作家・演出家。2005年に『その赤い点は血だ』で第11回劇作家協会新人戯曲賞、2007年に『旅行者』で第14回OMS戯曲賞佳作を受賞。2006年には文化庁新進芸術家海外留学制度で韓国・ソウル市に一年間滞在し劇作家として研修する。また児童向け作品『きみがしらないひみつの3人』が令和元年度社会保障審議会児童福祉文化財の推薦作品に選出。
 

 


『旅行者』(2016年版)に関するツイートまとめ

2016年に上演した同作公演をご観劇いただいた方の感想などをまとめています。作品の内容に触れた投稿もありますのでご留意ください。

過去の上演

初演(2006年ver.) チラシ

初演(2006年ver.) 撮影=平野愛

初演(2006年ver.) 撮影=平野愛

初演(2006年ver.) 撮影=平野愛

再演(2008年ver.) チラシ

再演(2008年ver.)

再演(2008年ver.)

再演(2008年ver.)

日韓上演(2010年ver.)チラシ/演出=ウォン・ヨンオ(劇団ノットル)

日韓上演(2010年ver.)/演出=ウォン・ヨンオ(劇団ノットル)

日韓上演(2010年ver.)/演出=ウォン・ヨンオ(劇団ノットル)

日韓上演(2010年ver.)/演出=ウォン・ヨンオ(劇団ノットル)

再々演(2016年ver.) チラシ

再々演(2016年ver.) 撮影=松本成弘

再々演(2016年ver.) 撮影=松本成弘

再々演(2016年ver.) 撮影=松本成弘

再々演(2016年ver.) 撮影=松本成弘

再々演(2016年ver.) 撮影=松本成弘

再々演(2016年ver.) 撮影=松本成弘

再々演(2016年ver.) 撮影=松本成弘


新型コロナウイルス感染症について

下鴨車窓は新型コロナウイルス感染症の状況をつねに注視しています。当公演も状況により公演を延期・中止する場合がございますのでご了承ください。詳しくは下鴨車窓にお問い合わせください。発熱等体調不良のときのご来場はお見合わせください。

大阪公演(試演会)

大阪公演は試演会(照明や舞台装置などの演出効果を省略した公演)として行います
《日時》
2023年10月
24日(火) 14:00/19:00
▽受付は開演の45分前、開場は30分前からです
《料金》

1,000円

《チケット購入

こちら LinkIcon で承ります。

《会場》

扇町ミュージアムキューブ
CUBE02 LinkIcon

大阪メトロ堺筋線「扇町」駅(5番出口)から徒歩3分
・JR環状線「天満」駅から徒歩7分
・JR「大阪」駅から徒歩15分
 

三重公演

《日時》
2023年10月
28日(土)14:00 ※1
29日(日)14:00 ※2
▽各回とも終演後にトークイベントを開催!

※1 ゲスト:安住恭子(演劇評論家)
※2 ゲスト:はしぐちしん(俳優・劇作家・演出家/コンブリ団)
(敬称略)

▽受付は開演の45分前、開場は開演の30分前からです
《料金》

一般 2,700円(当日3,000円)
22歳以下 1,800円(当日2,000円)

※未就学児入場不可
※ユース(22歳以下)の方の割引には年齢を確認できる証明書のご提示が必要です
※当日券は残席数に応じて販売いたします。ご入場は開演直前のご案内となります

《チケット購入

こちら LinkIcon で承ります。

《会場》

三重県文化会館小ホール LinkIcon
・詳しい交通案内はこちら LinkIcon
 

《託児サービスのご案内》

三重公演10月29日(日)の回のご観劇のあいだ、託児サービスを行います。(予約制・先着順)
 料金:1,000円
 対象:生後3ヶ月から小学校入学前まで 
申込先:三重県文化会館 TEL059-233-1122
申込締切:1015()

東京公演

《日時》
2023年11月
10日(金)19:00 ※1
11日(土)14:00 ※2
12日(日)14:00

▽各回とも終演後にトークイベントを開催!
※1 ゲスト:長田育恵(劇作家・脚本家/てがみ座)
※2 ゲスト:綾門優季(劇作家/キュイ)
(敬称略)
▽受付は開演の45分前、開場は開演の30分前からです
《料金》

一般=4,000円
ユース(25歳以下)=3,000円

※ユース(25歳以下)の方は受付時に年齢を確認できる証明書のご提示が必要です

《チケット購入

こちら LinkIcon で承ります。

《会場》

座・高円寺1 LinkIcon
・JR中央線「高円寺」駅北口を出て徒歩5
 
※駐車場はございませんので公共交通機関をご利用ください

《託児サービスのご案内》

定員あり。対象年齢1歳~未就学児。一週間前までに要予約。料金1,000円。申込・問い合わせは座・高円寺チケットボックス
TEL03-3223-7300(10:0018:00)
まで。